デロンギブランドの礎となったのはヒーティング技術でした。デロンギ社はイタリアに多く見られるファミリービジネスの形態で、現グループ会社社長デロンギ氏へと代々つながるデロンギ家が中心の経営。クラフトマンの作業場から暖房器具のパーツメーカーに発展し、1975年に初の自社製品、電気式ポータブルラジエターを発表して、躍進していきます。
オイルラジエターヒーターとは、放熱板に密閉されたオイルを温め循環させることで部屋全体を暖める形式のもの。温風を肌に当てなくとも、壁や床から伝わる熱で温まる輻射熱を用い、スローでナチュラル、空気を汚さない構造がヨーロッパで支持され、1980年には米国市場に進出します。
ユニークなのは、その歩み。暖房設備一直線でもなく、次には家庭用ポータブルクーラーを、また次には家庭用のヘルシーな揚げ物機、回転式フライヤーを登場させるなど、単機能で設計思想のハッキリしたものづくりを展開している点。日本ではオイルヒーターは85年にはじめて登場し、オーブンは95年、エスプレッソマシンは96年に発売されました。さらにブレンダー、パニーニメーカー、アイスクリームメーカーも登場します。06年秋には、エスプレッソマシンに白や赤なども含めたカラーバリエーションが展開されました。
「デロンギには単機能のよさがあります。ダイヤルも手回しですし、タイマーもゼンマイ式とシンプル。使うとよさがわかります」とデロンギ・ジャパンの酒井雅子さん。日本でデロンギといえば、オイルヒーターとエスプレッソマシンでのシェアが高いのに、イタリアではエアケア製品やグルメクッキング家電、ハウスキーピング製品など、多岐にわたる商品の認知度が高いブランドです。オイルヒーターをきっかけに知名度を上げたデロンギですが、現在はライフスタイルを提案する企業としての道を歩んでいます。今後もコラボや新シリーズの開発など、目が離せません。
取材・文/武位教子 取材協力/デロンギ・ジャパン