故郷の古びたものの価値を
見直し、世界的なブランドに点
マルセイユ出身の2人の男性によって1990年に創業。地元に古くからある固形石けんをクラフト紙にくるみ直して売り出すと、たちまちパリの百貨店で好評に。その後、発売したリキッドソープは、世界的な人気商品に成長。2007年にはアメリカ支社も立ち上げました。フランス国内には直営店が5つ、マルセイユの成長企業トップ10にランクインする注目企業となりました。 |
 |
| ↑マルセイユのメインストリートにある本店。 |
 |
| ↑ブランドのアイコン的存在マルセイユリキッドソープ。発売当初は「無香」と、地元で採れるラベンダーの精油を用いた「オリーブラベンダー」の、伝統にもとづいた2種のみ。現在は「フィグ」や「チェリー」など7種類に。各¥2625 |
|
フィリップとパスカルは、元はアイウエアメーカーのプロダクトデザイナー。商業デザインに従事していた2人が独立を考えていたときに目を向けたのは、地元マルセイユで1000年以上にわたって職人が伝統的な製造技術で作ってきた、古風な石けんでした。「伝統的なものに勝るものはない」という故郷に対する誇りから、2人は何度も地元の職人のもとに足を運んで説得。彼らの熱意に職人が応じてパートナーシップを結びます。
19世紀終わりごろに合成の界面活性剤を用いたシャンプーなどがアメリカから輸入されるようになって以来、薬局の店頭で山積みになって売られていたマルセイユ石けん。誰もがデザインと結びつくなど夢にも思わなかった石けんを、2人は手作りのよさを伝えるべく、クラフト紙に包んで発売。パリを中心に反響があり、手ごたえを感じた2人は、リキッドソープも売り出します。実は、苛性カリを用いた石けん素地を水でのばして作る、合成の界面活性剤を使わないこの液体石けんも、地元の人にとっては昔からある身近なもの。固形石けんと同様に、見せ方を変えて、マーケットでの価値を変えたのです。リキッドソープのボトルには、「SAVON DE MARSEILLE」(マルセイユの石けん)と商品名そのままをプリント。そのデザインの斬新さにフランス人は驚きました。シンプルで洗練されたパッケージデザインはどんなインテリアとも相性がいいと大ヒット。アメリカや日本でも一躍人気商品になり、現在30カ国で販売されています。
こうして、デザインの力でマルセイユ石けんを現代によみがえらせたラ カンパニー ド プロバンス。その後も新商品を次々と提案します。その考え方は、最初石けんを見出したように、とても素直なもの。オリーブを贅沢に配合したエクストラ デ オリーブシリーズにシェービングクリームを登場させた動機は「気に入るのがなくて。ほかのだと荒れちゃうから」。あひる形の石けんは「あったらおもしろいでしょ?」。そんな2人のまっすぐなところも、優れたデザインとともに私たちの心をとらえるのかもしれません。
取材・文/武位教子 協力/グローバル プロダクト プランニング tel:03・3770・6170(このページで紹介したアイテムはすべてグローバル プロダクト プランニングで扱っています)
|