読書の秋にちなみ、今回はちょっとシブ目に&風流に時代小説の世界に皆様をご案内します。時代小説といっても、たくさんの種類がありますが、読みやすくって、その時代の風景がすぐに浮かび、そして読み手に退屈感をあたえない、池波正太郎さんの時代小説をご紹介したいと思います。
池波正太郎の小説には、その時代の雑貨(煙管/キセルとか…やっぱり渋め?)に関する記述なんかもあるし、圧巻なのはグルメな話。おしいさがどんどん伝わってくる文章が散りばめられていて、読んでいる間じゅう食欲を刺激されっぱなし!なのです。
彼の小説でいちばん有名なのは、鬼平半科帳ではないでしょうか?テレビ、映画(フジテレビ、松竹)なんかもいっぱい作られていますし。《ちなみに長谷川平蔵宣以=鬼平は実在の人物であります。(1746〜1795)火付盗賊改方を命じられたのは1787年です》私自身、そういったものを通してより自分の視野に入った、ということからか、他の作者よりも、どんどん虜になっていったのです。

そんな読書&食欲の秋にぴったりな池波正太郎の小説。自分がよんだものは、ごく一部に過ぎませんが、少しでも、その良さがみなさんに伝われば幸いです。
それでは……

池波正太郎ちょっことプロフィール
1923年(大正12年)生まれ
東京・浅草出身
経歴 東京都生まれ。下谷西町小学校卒。
海軍に従軍。
戦後、都庁勤務の傍ら長谷川伸に師事して戯曲、小説を発表。
昭和30年、東京都職員を退職し、新国劇にて脚本家となる。
1960年(昭和35年)、「錯乱」にて第43回・直木賞を受賞。
1977年(昭和52年)、「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人藤枝梅庵」の三シリーズで第11回・吉川英治文学賞を受賞。
1988年(昭和63年)、第36回・菊池寛賞受賞。
1990年(平成2年)5月3日、永眠。

受賞年齢 37歳6ヵ月
受賞歴 第4回新鷹会賞「天城峠」
第2回新鷹会賞奨励賞(昭30年)「太鼓」
第5回小説現代ゴールデン読者賞(昭47年)「殺しの四人」
第7回小説現代ゴールデン読者賞(昭48年)「仕掛針」
第11回吉川英治文学賞(昭52年)『市松小憎の女』
第6回大谷竹次郎賞(昭52年)『市松小憎の女』
紫綬褒章(昭61年)
処女作 「雪晴れ」(昭21年)
直木賞受賞昨品
第36回「恩田木工」
第37回「眼」
第38回「信濃大名記」
第40回「応仁の乱」
第41回「秘図」
第43回「錯乱」

☆仕掛人・藤枝梅安
針師としての梅安もステキですが、殺し屋としての梅安も捨て難い。幼い頃の悪夢のような生い立ちから、こんな方になってしまったのですね。寂しさとウラハラに彼の周りには、彼を理解して、共に戦ってくれる仲間がいる。う〜んすばらしい。最後の仕掛けの途中で、いったいどんな作戦で、成功したのか、失敗したのか、それは池波正太郎さまに聞かなければ分からないですよね…残念。
●仕掛人・藤枝梅安 殺しの四人 講談社文庫
この世に生きていては毒になる奴を消す。それが殺しの定法だ。ハリの名医が表看板だが、極悪人の殺しを請負って、闇から闇へと葬る非情な裏稼業。吹矢の名手彦次郎を相棒に、仕掛人・藤枝梅安必殺の殺し針が急所に突きささる。梅安・彦次郎コンビの人間味を追求しつつ、闇の活躍を痛快に描いた短編連作。

●仕掛人・藤枝梅安 梅安蟻地獄 講談社文庫
医者の宗伯と人違いされて闇討ちをうけた翌日、梅安のもとに仕掛けの話が舞いこんだ。相手は蝋燭問屋伊豆屋長兵衛。宗伯とは因縁浅からぬ仲らしい。彦次郎の手も借りて、長兵衛・宗伯の関係と悪業を探り出した梅安は、地獄送りの殺し針を研ぎ始めた――表題作のほか、三編を収録した“梅安シリーズ”第二弾。

●仕掛人・藤枝梅安 梅安最合傘 講談社文庫
命の恩人が敵持ちの極悪人と知って、梅安の気持は複雑微妙。だが、目を覆う悪逆ぶりに心は決まる。“恩人”を仕掛ける表題作。仲間の剣客小杉十五郎を狙う浪人を逆に葬る「梅安流れ星」。仕掛けの現場を見られて苦境に陥る「梅安迷い箸」他三編。凄絶な死闘と人情の機微を描いて一気に読ませるシリーズ第三集。

●仕掛人・藤枝梅安 梅安針供養 講談社文庫
闇討ちにあって瀕死の重傷を負った若侍を匿う梅安。だが、命をとりとめた若侍は記憶を喪っていた。一方、よんどころない義理で引き受けた仕掛けの相手の旗本奥方は、若侍と深いかかわりがあるらしい。暗黒の世界に生きる男たちの凄味と、紙一重の人間味を陰影深く浮き彫りにする好評シリーズ、初の長編。

●仕掛人・藤枝梅安 梅安乱れ雲 講談社文庫
梅安め、ゆるせぬわい――大坂暗黒街屈指の大立者、白子屋菊右衛門の命が下った――「殺せ」。剣客・小杉十五郎にからむ白子屋と梅安の確執は、もはや抜きさしならぬものとなった。かねて覚悟の梅安は潔く立ち向う。彦次郎、十五郎等、心を許した仲間たちの働きは?捨て身の男の魅力が光る、傑作時代長編。

●仕掛人・藤枝梅安 梅安影法師 講談社文庫
巨悪白子屋菊右衛門は倒したが、一味の非情な復讐は続く。死闘を切り抜け、人助けの鍼治療に専念する梅安。彦次郎と十五郎の無言の支え。「私はまだ死ねぬ」と呟く梅安を、絶妙の工夫で襲ってくる最強の敵。ひっそりと梅安の愛を待つ、おもんとの行末は? 金ずくの仕掛人たちに深まる闇を描く、傑作長編。

●仕掛人・藤枝梅安 梅安冬時雨 講談社文庫
この世に、生かしておいてはならない人間だから仕掛けた――はずであったが、怨みは怨みを呼び、復讐が続く。白子屋菊右衛門一味との悪因縁を断ち切るために、梅安が考えぬいた秘策とは?シリーズ白眉の長編完結を目前に、著者が急逝した痛恨の作品。巻末に、生前のインタビューから、「梅安余話」を収録。

●「仕掛人・藤枝梅安」の先駆をなす八つの短編=江戸の暗黒街

☆にっぽん怪盗伝
12の短編集からなっているが、一気に読んでしまうほど、すべての作品がおもしろく、後に出筆される鬼平などのに続く話しがあり、鬼平から読み始めた人でも楽しく読めます。
●大江戸の夜のしじまを破る呼笛に追われ、闇から闇を、風のように駆け抜ける男たちの蒼ざめた顔。………
 江戸爛熟期の市井の風物と社会の中に、色と欲につかれた盗賊たちの数奇な、転落の運命を、スリル溢れる、巧みなドラマ展開のうちに描いて、人の世の哀しさをにじませた傑作小説集。

☆忍びの風
忍びの起きてとして、仲間同士の恋路は禁止という【暗黙の了解】があるが、半四郎は青年時代、初めて女の体を教えてもらった於蝶にほのかな恋心をいだいている、というなんとも切ない男と女の関係が本編とあいまって、なんともいえない切ない思いにかられる。忍びとは、歴史上表舞台に立つことはなく、歴史の影でさまざまな働きをしていることが分かり歴史とはおもしろいものだと感じることができた。
●忍びの風(一)文春文庫
「十年前の、あのときのことを思い出さぬかね」と於蝶は唇で半四郎の首筋を愛撫しながら言った。初めて女の体を教えてくれた於蝶に半四郎が再開したのは、姉川合戦のさなかであった。ともに甲賀の忍者として、いのちがけの働きをせねばならぬ時を前にして、二人の交わりは熱く燃える。そして波乱の春が来た……。

●忍びの風(二)文春文庫
於蝶とともに、織田信長の本陣を襲ったあの夜……。半四郎は彼女と別れ別れになり、織田方の忍者に発見されて、必死に闘った。あやうく命拾いをして、姉川合戦の五年後、鈍牛・鳥居強右衛門に再会する。いま、長篠の戦いが始まろうとしている。ともに熱い体をたしかめあった於蝶にいつ会えるだろうか。

●忍びの風(三)文春文庫
天正10年の年が明けた。すさまじいばかりの波乱転変となったこの年を、だれが予想し得たろうか。信長の首を狙う女忍び於蝶は、信長の長男・信忠の寝所に忍び入った。寝首をかくつもりが、彼の顔を見た瞬間、於蝶の呼吸が乱れ、汗と女のあぶらが一度に匂いたった。「信忠とはこのように美しい……」於蝶も女であった。

まんぞく まんぞく
少女のころの無垢な真琴、そして辱めを受けた傷を復讐心にかえて、男に成りきろうとす真琴、「このような女抱く気もせぬ」といわれ、女としての自分をとりもどす真琴、この本での一番の読みどころはココだと思われます。心というものは複雑に変化をしていくのだな〜思いました。
●深夜、覆面をして、酒に酔った侍に喧嘩をしかけては、髷を切ったり川に投げ込んだりして楽しんでいる男装の女剣士。それは、十六歳の時、浪人者に犯されそうになり、家来を殺された堀真琴の、九年後の姿であった。真琴は、敵討ちを心に誓って剣術の稽古に励んだ結果、剣を使うことが面白くて仕方なくなったのだが……。女剣士の成長の様を、絶妙の筋立てで描く長編時代小説。

☆乳房
こちらは、鬼平犯科帳の番外編で、中頃になって、長谷川平蔵が登場します。お松と鬼平の2つの視線から物語りが進んでいき、二度おいしい。人との交わりによってかわっていくお松の心と身体。必見です。
●「まるで不作の生大根をかじっているようだ」さんざんにもてあそばれた挙句、罵られ捨てられたお松は、偶然出会ったその男、煙管職人の勘蔵を絞殺してしまった。この言葉を胸に秘めて、数奇な運命を辿るお松を評して、長谷川平蔵は、「男にはない乳房が女を強くするのだ」というが……。鬼平犯科帳番外編。解説・常盤新平

☆火の国の城
「忍者丹波大介」の長編小説からの続ものです。時が経つのははやいもので、あの関ヶ原の戦いから五年という歳月がたっていました。本物の男になった丹波大介の活躍が爽快です。
●火の国の城(上)文春文庫
たくましい裸体である。体を流し洗場に入ってきた湯女が目をみはって「ま、りっぱな体わいの」感嘆の声をもらした。湯女の乳房が男の頭の上でおもたげにゆれている……この男こそ、関ヶ原の戦いで戦死した丹波大介であった。五年後のいま京の風呂屋で彼を見た別の客が、驚きの表情を浮かべた。

●火の国の城(下)文春文庫
闇がにおっている。春のいおいなのだ。「あっ……」さすがの大介もあわてた。こうまでも、敵の術中にはまりこもうとは。刃と刃の噛み合う音が烈しくおこり、飛びかう。小たまの絶叫があがった。大介の一刀に左腕を斬られたのだ。転瞬、切りつけられた大介の体が仰向けに倒れた……。
*昭和44年3月25日より45年6月9日まで387回にわたり、京都新聞、新潟日報その他に掲載された。

☆剣客商売
秋山大次郎と三冬がどうなっていくのか、毎度、毎度気になっていました。とうとう第6新妻で結ばれるのですが、奥手な二人が秋山小兵衛と田沼意次によって結ばれるさまが、なんともいえず、何度も読んでしまいます。奥手、現代では死語なってしまったような気がして、逆になんだかとっても新鮮です。
●剣客商売
白髪頭の粋な小男・秋山兵衛と巌のように逞しい息子・大治郎の名コンビが、剣に命を賭けて江戸の悪事を斬る。シリーズ第一作。

●剣客商売2 辻斬り

●剣客商売3 陽炎の男
若衆髷をときほぐし、裸身を湯槽に沈めた佐々木三冬に、突然襲いかかる無頼の浪人たち。しかし、全裸の若い女は悲鳴もあげず、迎え撃つかたちで飛びかかっていった。隠された三百両をめぐる事件のさなか、男装の武芸者・佐々木三冬に芽ばえた秋山大治郎へのほのかな思いを描く表題作。香具師の元締のひとり娘と旗本の跡取りとの仲を小兵衛がとりもつ「嘘の皮」など、シリーズ第三作。

●剣客商売4 天魔

●剣客商売5 白い鬼

●剣客商売6 新妻
秋山大治郎のことを思いながら夕暮れの根岸の里を歩んでいた佐々木三冬は、背中を斬られて逃げてきた女に小さな品物を託される。それが密貿易に係わるものだったため、三冬はその一味から狙われ、捕われて地下蔵に押し込められる。鬼神のごとくなっって探し回った大治郎が奇蹟的に三冬を救出すると、父・田沼意次は、いきなり三冬を嫁にもらってくれと頼むのだった。シリーズ第六作。

●剣客商売7 隠れ蓑

●剣客商売8 狂乱

●剣客商売9 待ち伏せ
「親の敵……」夜の闇につつまれた猿子橋のたもとで、秋山大治郎は凄まじい一刀をあびせられた。曲者はすぐに逃げ去り人違いだったことがわかるが、後日、当の人物を突き止めたところ、秋山父子と因縁浅からぬ男の醜い過去が浮かび上がってくる「待ち伏せ」。小兵衛が初めて女の肌身を抱いた、その相手との四十年後の奇妙な機縁を物語る「或る日の小兵衛」など、シリーズ第九作。

●剣客商売10 春の嵐

●剣客商売11 勝負

●剣客商売12 十番斬り

●剣客商売13 波紋

●剣客商売14 暗殺者
小兵衛は見た。凄腕の二人の浪人者をたちまちにして蹴ちらした、その巨漢の剣客の手並みを。男の名は、波川周蔵。「あの男ならせがれでも危い」。波川にいわれなき胸騒ぎを覚えた小兵衛は、やがて大治郎襲撃の計画を偶然知るや、卓抜した剣客の直感で、その陰謀と波川との見えざる糸を確信する。秋山小兵衛六十六歳、一剣客として父として、その血は熱く沸いた。シリーズ第十四作、特別長編。

●剣客商売15 二十番斬り

●剣客商売16 浮沈

●剣客商売番外編 黒白(こくびゃく)上・下

●剣客商売番外編 ないしょ ないしょ